「国勢調査は拒否できるの?罰則は?」
目次
●国勢調査には申告義務と罰則が定められています。
●ところが、処罰された人は一人もいません。
●“調査する側”に対する罰則規定もあり、死文化しています。
●個人情報の提出を強制する法律が不当なのです。
●どうすればいい?→国勢調査は密封提出しましょう。
●国勢調査には申告義務と罰則が定められています。 ・国勢調査は統計法によれば「指定統計」の調査とされています(第2条)。つまり「総務庁長官が指定」した統計調査という意味で、重要な調査とされているのです。
・指定統計のための国勢調査について統計法第5条では次のように申告義務が記されています。
統計法第5条
政府、地方公共団体の長又は教育委員会は、指定統計調査のため、人又は法人に対して申告を命ずることができる。
また義務をはたさない場合の罰則については「6ヶ月以下の懲役・禁固又は10万円以下の罰金」と記されています(第19条)。
そしてその対象者として次のような人を挙げています。
(1)申告をせず、又は虚偽の申告をした者
(2)申告を妨げた者
これらは全面拒否も一部拒否も対象となります。
このように法律の文面からすると戦前の法律を1947年改定、古いせいか大変な強制力をもった調査だということになります。
●ところが、処罰された人は一人もいません
・戦後12回の国勢調査が行われましたが、これまでに国勢調査に協力しなかったという理由で罰則が適用された例は一例もありません。
・一方、近年になるに従い、当局が“国勢調査の悪化”と呼んでいるように、調査への記入、つまり個人情報の提出を拒む人は急増しています。例えば、95年の場合「配偶者の有無」について約50万人が無記入でした。また90年の大規模調査時には、教育(学歴)について約200万人が回答していません。
このようにこれまでの国勢調査に対し、一部又は全部無記入の延人数はおそらく700〜800万人にのぼるのではないかと推測されます。
こうして見てゆくと、罰則規定は実質上死文化していると見なせるようです。
●“調査する側”に対する罰則規定もあり、死文化しています。
ところで“調査する側”に対する罰則規定があります。 第19条の2
「統計官、統計主事その他指定統計調査に関する事務に従事する者、統計調査員又はこれらの職に在った者が、その職務執行に関して知り得た人、法人又はその他の団体の秘密に属する事項を、他に漏らし、又は窃用したときは、これを1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する」
そして、これも死文化しています。ですから当局がもし“される側”を処罰したら、“する側”も処罰せざるを得なくなるでしょう。でなければあきらかに不公平となります。
●個人情報の提出を強制する法律が不当なのです。
・自分のプライバシーを権力に罰するぞ、と脅されて明らかにせざるを得ない、こんな現状は基本的人権を無視した制度とすら言えるでしょう。「プライバシー権」という権利が提唱されています。自分の情報について自己決定する権利のことです。つまり、役所や民間会社に提出するかどうかは本人が決める権利です。医療というたて社会でも今日ではインフォームド・コンセントが認められるようになりました(「国勢調査を調査する」p49〜52)
「個人情報の収集は最小限度必要な範囲にとどめる」べきです。
すでにOECDでは1980年に個人情報保護のためのガイドラインを定め「収集制限の原則」など八原則を採択しています。
●どうすればいい?→国勢調査は密封提出しましょう。
・2005年の国勢調査ではまがりなりにも全国の全戸に「封筒」を配布することになりました。又、調査員に対しても密封された調査票は開封しないよう「マニュアル」に明記しています。これまでの運動の主張を取り入れた結果なのです。
密封することによって、少なくとも調査員に記入・無記入も含め内容をじかにチェックされ、注文をつけられることはなくなりました。あとで指導員による電話問い合わせがあるかもしれませんが、さきほど説明したプライバシー権・自己決定権が本来の原則という信念をもって、記入する・しないも自分が納得できる選択をし、対応しましょう。
・さらに密封で調査員に渡すと相手に気を遣ってしまいしんどいと感じる人は、役所に持っていく、あるいは郵送する(ダイレクト・メール)などの提出法もあります。つき返されることはまずないと思います。調査員の方々にはついでがあったので持っていった、と説明しておけばよいでしょう。
アメリカの国勢調査はダイレクト・メール方式なのです。送る・送らない、つまり提出する・提出しないを選択する可能性が拡がる一面もあります。 |